レーシックの手術費用は医療費控除の対象となることがあります。医療費控除の対象となれば、その分国から税金の過払いとみなされて、いくらかの還付金が戻ってきますので、是非利用したいものです。
ただし、レーシックが医療費控除の対象になるかの判断は明確に定められているものではなく、税務署によって判断が異なるのが実情で、医療費控除の対象とならないこともありますので、詳しくは最寄の税務署にてご確認いただけますようよろしくお願いします。
以上のことを踏まえた上で、レーシックと医療費控除について解説したいと思いますので、参考にしてください。
課税所得と所得控除と医療費控除
医療費控除の説明の前に、まず税金について理解しておくと、より正しく理解できるので、簡単に説明します。(すでに、理解している人は読み飛ばしてもかまいません。)
一定水準以上の所得がある場合、所得の一部は所得税として徴収されます。具体的には、所得に一定の税率を乗じたものが所得税となります。
ここでポイントなのは税率は総所得に対して乗じられるのではなく、生活する上で必要な経費(保険料、年金、扶養家族の生活費など)を差し引いた純所得(課税所得)に対して乗じられることです。
当然ですが、生活する上で必要な経費(所得控除)が多くなれば多くなるほど、課税所得は少なくなり、支払う所得税は少なくなります。
医療費控除とは、この所得控除のひとつであり、例えば病気で手術をして多額の手術費用がかかった場合、それは生活上必要な経費とみなされ、所得控除として差し引かれます。
(所得税)={(所得)-(所得控除)}×(税率)=(課税所得)×(税率)
医療費控除の対象と条件
医療費控除は、自分や自分の家族のために1年間(1/1~12/31)で支払った医療費が、所得控除の対象となります。
また、医療費控除として認められるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 1年間の医療費が10万円を超えている
- 総所得が200万円以下の人は、1年間の医療費が総所得の5%を超えている
レーシックの費用は、安くとも10万円程度となります。術後の検査費用や通院費用等を勘案すれば、容易にこの条件は満たされるため、医療費控除の対象となる可能性があります。
仮に、レーシックが医療費控除の対象となれば、薬局での薬代や歯医者への治療などのほかの医療費も計上すれば、その分控除額が大きくなります。ただし、医療費控除の上限は年間200万円までとなりますので、気をつけてください。
医療費控除額と還付金額の求め方
医療費控除額は、自分や家族の1年間(1/1~12/31)の医療費総額(年間医療費)から医療費控除の承認条件である10万円(もしくは総所得の5%)を差し引いた金額となります。
(医療費控除額)=(年間医療費)-10万円(もしくは総所得の5%)
また、保険会社から手術給付金が支払われた場合は、さらに手術給付金額を差し引いた金額が、医療費控除額となります。
(医療費控除額)=(年間医療費)-10万(もしくは総所得の5%)-(手術給付金額)
さて、次に還付金についてですが、なぜ還付されるかについて説明します。通常、所得税は前年度の所得実績を基にして前払いします。ですから、前年度に医療費控除の対象となるほど医療費を支払っていなかった場合、税金を支払う段階では所得控除に医療費控除は含まれていないことになります。そのため、確定申告の際に、払いすぎた税金を還付するように税務署に申請することができます。
そうすると、医療費控除の申告によって戻ってくる還付金額は、医療費控除額に税率をかけて求めることができます。
(医療費控除による還付金額)=(医療費控除額)×(税率)
医療費控除の申請の仕方
医療費控除の申請は、確定申告が行われる2月中旬から3月中旬の間に行います。ただし、申請に当たっては以下の条件を満たしている必要があります。
- 医療費控除申請年に納税を行っていること
- 年間医療費が10万円(もしくは総所得の5%)を超えていること
医療費控除の申請書類や書類作成に必要なものは以下のとおりです。
医療費控除の申請書類
- 医療費控除の申告書(確定申告書)
- 医療費の領収書
- 医療費明細書
医療費控除の書類作成に必要なもの
- 医療費控除申請年の源泉徴収票
- 医療費控除申請年の医療費領収書
- 医療費控除申請年の医療にかかる交通費のメモ
以上の書類がそれっていれば、最大5年間さかのぼって医療費控除が可能ですので、レーシックの医療費控除をまだ試してない方は、申告されるとよいかもしれません。
なお、書類作成は国税庁ホームページ「確定申告書作成コーナー」で簡単に作成できますので、そちらを利用されるとよいと思います。