レーシックの種類

視力矯正手術の技術進歩はすさまじく、様々な矯正方法が開発されています。そこでレーシックの種類について整理します。

レーシック(LASIK)

マイクロケラトームという機器でフラップを作成し、エキシマレーザーを照射し、近視、遠視、乱視の矯正を行う術式です。正式には”laser in stu keratomileusis”といい、ギリシャの眼科医Phallikaris博士が名付け親です。通常は略してレーシック(LASIK)と呼ばれており、角膜屈折矯正手術の術式でもっとも一般的なものです。術直後から視力が出やすい術式ですが、フラップは吸着(癒着)した状態で残ります。

フラップの取扱によるレーシックの分類

イントラレーシック(Intra LASIK)

レーザーケラトーム(フェムドセカンドレーザー)でフラップを作成し、エキシマレーザーを照射して近視、遠視、乱視の矯正を行う術式です。フラップの作成をレーザー制御によって行うため、医師の腕に左右されることなく同等のフラップ(約100μm)を作成することが可能といわれています。レーシックと同様、フラップが生涯にわたって残るため、医学的には層間照射(interface ablation)に分類されます。なお、2007年にフェムドセカンドレーザーの開発元であるイントラレース社をAMOが買収が成立しています。

エピレーシック(Epi LASIK)

エピケラトームという機器でフラップを作成し、エキシマレーザーを照射して近視、遠視、乱視の矯正を行う術式です。手順はレーシックとそっくりですが、レーシック(約160μm)に比べて、フラップを薄く作成する(約60μm)ことが可能で、角膜厚が薄い方に適した術式といえます。また最終的にフラップは消失し角膜上皮が再生すれば、フラップのずれという心配がなくなります。一方、フラップの作成が医師の熟練度に左右されることや、術後3~4日程度、鈍痛が続くことも多いようです。

LASEK(ラセック、レーゼック)

薬液(5%NaClや20%エタノール等)で角膜上皮の接着を弱くし、専用の器具で角膜上皮を剥離させてフラップを作成し、エキシマレーザーを照射して近視、遠視、乱視の矯正を行う術式です。エピレーシックと同様、フラップ厚が薄く作成でき、最終的にはフラップが消失する一方、術後の鈍痛や医師の熟練度に左右されやすいという特徴があります。最近では、金属アレルギーや眼が小さい人など、ケラトームを使用できない患者さんに行われることが多いようです。

PRK

電動ブラシ、レーザー、エピトーム、薬液のいずれかの方法で角膜表面を除去し(フラップを作成せずに)エキシマレーザーを照射する術式です。そのため、角膜上皮の再生までの間、角膜表面を保護するため、コンタクトレンズを装用します。格闘家やプロボクサーなどハードな運動を日常的に行い、将来的にフラップがずれる可能性が高い人に主に実施されているようです。尚、エピレーシックとLASEK同様、最終的にフラップがなくなり上皮が再生することから、医学的には表面照射(surface ablation)に分類されます。

レーザーの照射方法による分類

ウェーブフロントレーシック(Wavefront LASIK)

波面(ウェーブフロント)で眼の歪み(収差)を精密に測定し、眼全体の収差を補正するようにエキシマレーザーを照射する術式です。さらに、眼球の全屈折を補正する方式をWavefront guided LASIK、球面収差のみを補正する方式をWavefront adjusted LASIKとさらに分類されることもあります。手術前の収差が大きい人や夜間の瞳孔径が大きい人に適した術式とされ、眼鏡やコンタクトでは補正できない高次収差の矯正も可能といわれています。一方で、レーシックに比べて角膜の切除量が(30%程度)増加することもあるようです。

トポリンクレーシック(Topolink LASIK)

角膜の形状を精密に測定し、角膜の形状を補正するようにエキシマレーザーを照射する術式です。角膜形状の非対称性が大きい人や角膜の不正が大きい人に適した術式とされ、角膜の形状を補正することで収差を抑制することが可能といわれています。個人によって異なる収差を補正するため、ウェーブフロントレーシックと共にカスタムレーシックという分類をされることもあります。

カスタムビューレーシック(CustomVue LASIK)

AMO社のVISX Star S4以上のシステムを用いて、通常のメガネやコンタクトレンズを処方する検査手法よりも25倍の正確さで眼の形状を正確に計測し、一人ひとりの眼に合わせたオリジナルのエキシマレーザー照射プログラムを用いた術式です。ウェーブフロント(Wavefront guided LASIK)の一種で、ハローやグレアなど夜間視力の低下の抑制に効果的な術式と言われています。ただし、レーシックに比べて角膜の切除量が多くなるようです。

参照情報:

    LASIK体験者によるレーシック入門
  • 南青山アイクリニック
  • 神奈川クリニック眼科
  • 安淵眼科
  • My Best Vision