銀座眼科のレーシックで67人が感染症


視力回復「レーシック手術」で67人が感染症…都内の眼科 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090225-OYT1T00868.htm

東京都中央区の眼科診療所「銀座眼科」(溝口朝雄院長)で、レーザーを照射して視力を矯正する「レーシック手術」を受けた患者67人が、感染性の角膜炎や結膜炎を発症していたことが25日、わかった。
 厚労省医政局指導課によると、レーシック手術後にこれだけ多くの患者の感染症が発覚するのは異例。中央区保健所は同眼科を23日から休診にさせて、原因を詳しく調べている。

今日のニュースで見たという人は多いと思いますが、「銀座眼科」でレーシックを受けた患者さんが、角膜炎や結膜炎を発症していたことが判明しました。異常を訴えた67人は関東に住む17~66歳の男女。二人が入院中で19歳の女性は失明の恐れがある重症だそうです。去年10月から今年2月にかけて639人の患者に施術。そのおよそ1割が異常を訴えたということになります。

溝口朝雄院長の会見によれば、「滅菌の機械に何らかの不具合があったことが強く疑われる」と説明。医学部(眼科) 坪田一男教授によれば、角膜移植が必要なケースが出るかもしれないとのことです。

中央区保健所の立ち入り検査では、角膜の表皮をめくる器具を滅菌する装置に不具合があったほか、手術器具が使用の前後できちんと分けて管理されていないなど、衛生管理の不徹底が原因ではないかということです。手術室に手洗い場がなかったそうです。当面の間、診療禁止処分になっています。

これを受け、厚生労働省は、院内感染対策の徹底を求める通知を都道府県などに出しました。

院内感染対策徹底を=眼科手術で都道府県に通知-厚労省
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009022500932

通知は、今回の集団感染が医療器具の滅菌処理が不十分だったことが原因とみられることから、医療法や厚労省が2005年2月に出した通知を順守し、職員の手洗いや医療機器の消毒、滅菌を徹底するとともに、院内感染防止のための指針やマニュアルを整備するよう医療機関に求めた。

溝口院長はこのようにも言っています。「自分の勝手な解釈ですが、感染症は起きるはずがないと思い込んでいたのがあります。医師として、やはり問題があったと思っております」。手術を楽観的に考え過ぎですね。

時事ドットコム:感染発生後も手術継続=機器点検、1度も行わず-銀座眼科
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date1&k=2009022500887

1例目の角膜炎患者が発生した後も「原因を特定するのに試行錯誤していた」と手術を続け、被害を拡大させる結果を招いたことを明らかにした。
 同院長によると、昨年9月23日にレーシック手術を受けた患者が角膜炎を発症。その後も発生が続き、今年1月に手術器具の滅菌に使う機器を交換して収まった。
 機器は2006年8月の開院以来一度も点検しておらず、不具合が疑われるといい、同院長は「点検が必要という認識がなかった。反省している」と述べた。

レーシックは、日本眼内レンズ屈折手術学会によると、昨年1年間で国内で40万~45万件が実施され、比較的安全性も確立されている手術です。しかし、問題はそれを実施する眼科医側にありました。

銀座眼科、施設使用を制限 「衛生管理が不徹底」と区 – 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009022501000684.html

日本眼科学会常務理事の大鹿哲郎筑波大教授は、レーシックの感染症は通常、患者5000人に1人とし「国内では考えられない被害」としている

本来であれば、このような数字に収まるはずのものですから、医師の無知と油断が被害を拡大したといえそうです。つまり赤信号を無視して交差点を渡った結果、事故を起こしたようなものです。マスコミは大々的に報道していますが、レーシック=危険と考えるのは短絡的です。
どんな医療行為であっても、最新の注意を払って行うべきです。この事故をきっかけに他の医院でも、体制の見直しや機器のチェックを念入りに行って欲しいと思います。


以下、TVのニュース映像です。

NHK
NHKニュース ずさんな衛生管理で拡大か (2月26日 5時15分)
http://www3.nhk.or.jp/news/t10014410781000.html

銀座眼科では、▽手術室に手を洗う場所がなく、別の場所で手を洗って手術室に戻る際に患者の待合室などを通らざるをえない構造になっていたほか、▽使い終わった器具と消毒した器具とを同じ棚で保管していたことが新たにわかりました。また、院長が、▽手洗いや消毒を徹底していなかったり、▽素手のまま手術をしたりしたこともあったということです。

NHKニュース 視力矯正手術で67人が感染 (2月25日 19時21分)
http://www.nhk.or.jp/news/k10014401852000.html
FNN

銀座眼科レーシック集団感染で病院側が謝罪会見 一方、新たに1人が術後入院と判明 (02/25 19:55)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00150114.html
TBS

「銀座の眼科、レーシックで角膜炎感染」 News i – TBSの動画ニュースサイト
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4070735.html

余談ですが、タレントのコロッケさんが、銀座眼科でレーシック手術を受けています。

なお、松坂大輔投手の施術をした「銀座スポーツクリニック」は銀座眼科とは全く関係ありません。むしろ他院でトラブルを抱えた患者さんに門戸を開く「レーシック難民救済プログラム」は、今回のような医療ミスが起きた時や結果が芳しくなかったときのフォローとして重要な役割を果たすと思います。